漢字

厭とは?厭の読み方や意味、成り立ちは?使われている言葉と例文も♪

厭の音読み

エン(en)

仏教語や学術語での使用が目立ちます(例:厭世(えんせい)・厭離(えんり))。

厭の訓読み

いと・う(厭う)/ いとわ・しい(厭わしい)/ いや(表記ゆれ・古風)。

現代日本語では同義の「嫌」を用いることが多いですが、文学・仏教語・熟語では今も「厭」を用います。

厭の成り立ち(語源)

形声
意味を表す「厂(がんだれ)」に、音を表す「猒(エン)」を組み合わせた字。
「おおいかぶさる・圧迫する」情景から発し、「飽きてイヤになる/忌み嫌う」の意へ。

厭の漢字構成

厂(がんだれ)+猒(エン)
部首:厂(がんだれ)。

厭の発音(IPAの目安)

音読み:/en/(エン)。
訓読み:/itoː/(いとう)、/itowaɕiː/(いとわしい)、/ija/(いや)。

厭の意味

いやがる・いとう(忌避する/差し控える)
飽きて嫌になる・うんざりする
③ 熟語で「離れる・退ける」の意(厭離)。
※ 現代語では「嫌」を用いる場面が多いが、厭世・厭離・不厭などの語では「厭」を使うのが一般的。

厭の言葉一覧(用例語彙)

厭う(いとう):忌み嫌って避ける。
厭わしい(いとわしい):不快で避けたい。
厭世(えんせい):世をはかなみ嫌う気分。
厭世主義(えんせいしゅぎ):人生・社会を否定的にみる立場。
厭戦(えんせん):戦争を嫌ってやめたい気分。
厭離(えんり):きらって離れる。仏語「厭離穢土」。
厭離穢土(えんりえど):この穢れた世を厭って離れる意。対は「欣求浄土」。
不厭(ふえん):いとわない。ためらわない。
厭悪(えんお):ひどく嫌うこと(「えんおく」と読まれることも)。
嫌気/厭気(いやけ):やる気が失せる感じ(一般には「嫌気」を多用)。
倦厭(けんえん):あきていやになること(※「倦」との複合)。

厭の例文

・彼は形式だけの会議を厭い、必要最小限にとどめた。
・雑音の多い環境は作業効率を下げ、次第に厭わしいものになっていく。
・戦の長期化により、兵たちの間に厭戦の空気が広がった。
・彼女は俗世間を厭離し、山里で静かに暮らしたいと語る。
・目先の利益のためなら努力を不厭(ふえん)とする姿勢は評価できる。
・度重なる中傷に、彼はこの世界そのものへ厭世的になった。

メモ(表記・運用のコツ)

・一般文体では「嫌」を、専門語・仏教語・熟語では「厭」を選ぶと自然。
・訓読みは送り仮名に注意:厭う(いとう)/厭わしい(いとわしい)

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