鋳の基本情報
「鋳」は、金属を溶かして型に流し込むことを表す漢字です。常用漢字で、旧字は「鑄」です。
音読み
チュウ(chū)
訓読み
いる(鋳る)
成り立ち
「鋳」は形声文字です。
左の「金」が金属・金工を示し、右の「寿(旧字:壽)」が音(チュウ)を表します。
旧字は「鑄」で、戦後の新字体で「鋳」に簡略化されました。意味は古くから「金属を溶かして型に流し込む」ことです。
漢字構成
金へん+寿(「金へんに寿」)
発音
- 音読み:チュウ — IPA:/t͡ɕɯː/
- 訓読み:いる — IPA:/iɾɯ/
※語によってアクセントは異なる場合があります(例:「鋳造(ちゅうぞう)」は平板が一般的)。
意味
- 金属を溶かし、型(鋳型)に流して形を作ること(例:鋳造、鋳る)。
- 貨幣・仏像・器物などを鋳て作ること(例:鋳銭)。
- 型にはめて作る/定型化する(比喩的)(例:鋳型にはめる)。
言葉一覧(用語・熟語)
- 鋳造(ちゅうぞう):溶融金属を鋳型に流し成形する工程。
- 鋳物(いもの):鋳造で作られた製品・工芸品。
- 鋳型(いがた):金属を流し込む型。
- 鋳鉄(ちゅうてつ):炭素量の多い鉄の鋳物材料。
- 鋳工(ちゅうこう):鋳造に従事する職人。
- 鋳肌(いはだ):鋳物の表面肌。
- 鋳込み(いこみ):溶融金属を鋳型へ流し込む作業。
- 鋳直す(いなおす):再び溶かし、鋳造し直す。
- 鋳銭(ちゅうせん):鋳て作った銭。貨幣鋳造。
- 砂型鋳造(すながたちゅうぞう):砂型を用いる鋳造法。
- 精密鋳造(せいみつちゅうぞう):高精度に成形する鋳造法。
例文
- この工房では、伝統技法で仏像を鋳っている。
- エンジン部品は鋳造と機械加工の工程を経て完成する。
- 試作品の鋳物は、表面の鋳肌が美しい。
- 古代国家は鋳銭によって通貨制度を整備した。
- 思考を鋳型にはめると、発想が硬直化しやすい。
ポイント: 鋳は「鍛(きた)える」と対比されます。
「鋳」=溶かして型に入れる/鍛=叩いて成形する。目的や材質で使い分けます。