音読み(おんよみ)
ナン。
漢語的な用例(例:楠公(なんこう))などで見られます。
訓読み(くんよみ)
くす/くすのき。
一般には木の名(クスノキ)として日常的に用いられます。
成り立ち(語源・字源)
形声文字。
意味を表す「木」(きへん)と、音を表す「南」(ナン)を組み合わせて、「芳香を放つ樹(クスノキ)」を表した字とされます。
クスノキ(クスノキ科)は温暖地に多い常緑高木で、古くから社寺や街路樹として尊ばれてきました。
漢字構成
⿰「木」+「南」(きへんに南)。
発音(IPAの目安)
ナン:/naɴ/ | くす:/kɯsɯ/ | くすのき:/kɯsɯnokʲi/。
日本語話者向けのコツ:「くす」は母音を曖昧にせず短く、「のき」は一拍ずつ。
意味
① クスノキ(楠)。常緑高木。材は香気があり、防虫・保存性に優れる。
② クスノキの木材・並木など、樹木に関する総称。
③ 人名用字・地名用字(例:楠木〈くすのき〉、楠田〈くすだ〉、楠本〈くすもと〉、楠町〈くすちょう〉など)。
言葉一覧(用例・関連語)
・楠(くす/くすのき)
・楠木(くすのき)…クスノキ。姓にも用いる。
・大楠(おおぐす)…巨木のクス。
・楠並木(くすなみき)…街路の並木。
・楠の香り(くすのかおり)…特有の芳香。
・楠の森(くすのもり)…神社の杜などに群生するクス。
・楠公(なんこう)…楠木正成を敬っていう称。
・楠氏(なんし)…楠木氏など、楠の字を冠する氏族。
・楠田(くすだ)/楠本(くすもと)…姓。
・楠町(くすちょう)…地名に見られる表記。
例文
1)神社の境内にそびえる楠は、樹齢千年を超えると伝えられている。
2)夏の夕方、楠の香りが風に乗って通りを満たした。
3)駅前の楠並木は、街のシンボルとして親しまれている。
4)彼の姓は楠田で、読みは「くすだ」だ。
5)史跡には楠公ゆかりの碑が建てられている。