宕(うかんむりに石)の音読み
トウ(歴史的仮名:タウ)
宕の訓読み
ほらあな/ほしいまま(気まま・勝手気ままの意)
宕の成り立ち(字源)
「宀(屋根・建物)」と「石」から成り、岩屋(洞窟)・石室を表すのが原義。そこから広々として束縛の少ないさま=「ほしいまま」に意味が広がったとされる。
辞典によっては会意(宀+石)と説明する立場と、形声(宀+音符「碭(タウ)」)とする立場の両説がある。
宕の漢字構成
部首:宀(うかんむり) / 構成:うかんむり+石 / 画数:8画 / 区分:人名用漢字・漢検準1級相当
宕の発音(IPA)
音読み「トウ」:[toː] / 訓「ほらあな」:[hoɾaana] / 訓「ほしいまま」:[hoɕiimama]
宕の意味
① ほらあな・いわや(洞窟・石室)
② 気まま・ほしいまま・おおまか(細事に拘らないさま)
③ 広い・大きい(転義)
④ 度をこす・ゆきすぎる(文語的)
宕の言葉一覧(熟語・用例)
- 豪宕(ごうとう):豪放で細事にこだわらないさま。
- 跌宕(てっとう):好き勝手にのびのび振る舞うさま・雄大なさま。
- 佚宕(てっとう):おおまかで締まりのないさま。
- 宏壮豪宕(こうそうごうとう):意気盛んで豪放磊落。
- 跌宕狷介(てっとうけんかい):好き放題に振る舞いかつ己の信念を曲げない。
- 跌蕩放言(てっとうほうげん):遠慮なく言いたい放題に話す。
- 宕冥(とうめい):暗く果てしないさま/のび放題で節度がないさま。
- 宕子(とうし):道楽者・気ままに振る舞う人。
- 疎宕(そとう):おおまかで小事にこだわらない。
- 驕宕(きょうとう):おごり高ぶってわがまま。
- 愛宕(あたご):地名・社名に多い固有名(例:愛宕山・愛宕神社)。※語源は諸説あり。
宕の例文
・豪宕な気質で、細かな規定に縛られないチームを率いた。
・若い頃の彼は跌宕として、常に新しい土地をさすらっていた。
・批評は辛辣でも、根は疎宕で人に寛い。
・暗雲の谷は宕冥として、その果てを知れない。
・創作においては、時にほしいままの想像力が突破口を開く。
・古記に見える「ほらあな」は、山腹の宕を指すという。